紅茶の種類

紅茶の種類を知ることで、その土地の味わいを知ることになります。

ここではシングルオリジンとブレンドティー&フレーバーティー、茶葉のグレードを説明します。

① 産地別茶葉(シングルオリジン)

紅茶の味は、産地による味の違いがあります。収穫時期によっても全く異なります。インド紅茶の場合、収穫時期は3シーズンに決まっています。セイロン紅茶の場合は年間を通してシーズンフリーで収穫できるのに対してインドのシーズンで収穫できる茶葉の量は半分以下です。また、そのシーズンは数週間程度です。これは雨季が短く、茶葉にとっては過酷な状況になるため、葉っぱに栄養を蓄えようとするので、産地による特徴も仕上がり方も異なる茶葉になります。

スリランカ

昔は5産地でしたが、現在は7産地になります。その産地の標高差によって味も変わります。

・ヌワラエリヤ 標高約1,800~2,000m 爽やかで繊細なセイロン紅茶のシャンパンと呼ばれています。
ハイグロウン(高産地)で、スリランカでは標高がもっとも高く、昼夜の寒暖差が大きく、その気候が独特の渋みと繊細な香りを生み出します。清涼感のある若々しい味です。

・ウバ 標高約1,000~1,700m 世界で唯一無二のウバフレーバーが特徴
世界三大紅茶の1つで、メントール香(ウバフレーバー)が有名です。収穫はわずか数週間のクオリティーシーズン(旬な時期、フレバリーシーズンとも呼びます)だけのものです。独特の香りをストレートで楽しむことができ、爽やかなミルクティーでも楽しめます。

・ディンブラ 標高約1,400~1,700m セイロンティーのキングと呼ばれています
色・香り・味すべてにバランスがとれた風味は、ストレートやミルクティー、アイスティーでもしっかりと香りと渋みが味わえます。スリランカを代表する茶葉です。

・ルフナ 標高約200~700m 独特のコクと甘みが特徴
ローグロウン(定産地)ならではのセイロンティーの赤茶色の濃い水色と濃厚な味わいが特徴です。独特のモルティー香(麦芽香)があり、すっきりとした後味があります。ミルクティーによく合います。

・キャンディ 標高約600~1,200m セイロンティー発祥の地。飲みやすさが特徴
ミディアムグロウン(中地産)で、コクと渋みが控えめで、飲みやすいです。

・ウダプッセラワ 標高約950~1,600m 年2回のクオリティーシーズンがあり。飲みやすさが特徴
ヌワラエリアとウバの中間に位置し、年に2回のクオリティーシーズンがあります。ハイグロウン(高地産)の茶葉ならではの繊細さと、口当たりのよいマイルドさもあり、ストレートでもミルクでも楽しめます。

・サバラガムワ 標高約200~700m コクがありライトな味わいが特徴
以前は「ルフナ」の産地でしたが、標高や気候の違いによって異なる産地として加えられました。CTC製法にするとコクや深みが楽しめます。

インド

・ダージリン 標高約1,000~2,500m 特徴のある香りと渋みのある銘茶
世界三大紅茶の1つで、甘く爽やかな香りと上品な渋みはダージリンならではのものです。ファーストフラッシュ、セカンドフラッシュ、オータムナルの3シーズンでの収穫期でそれぞれに特徴があります。

ファーストフラッシュ・・・寒さが和らぎ始める、3月から4月ころに摘まれる一番茶です。

セカンドフラッシュ・・・・夏の最盛期の二番摘み茶です。5月から6月に摘まれる葉から作られます。

オータムナル・・・・・・・秋の深みある紅茶に仕上がった四番摘み茶にあたります。

特にファーストフラッシュは極少量しか収穫できないので毎年その入荷を待ち焦がれるファンが多く、紅茶で唯一ブランディングされた産地です。

・アッサム 標高約500m以下 濃厚な甘みと水色でミルクティーの代表格
深いコクとモルティーさのあるアッサムにも3シーズンがあります。ダージリンに比べて味や香りに差はおだやかです。全体の90%がCTC製法で加工されています。

ファーストフラッシュ・・・春摘み茶で3月~4月ころに摘まれる一番茶です。
濃厚でさわやかな風味で甘い香りでストレートで楽しむのがオススメです。

セカンドフラッシュ・・・・夏摘み茶で4月~6月ころに摘まれる二番茶です
アッサムの三つの茶葉の中で、一番収穫量が多くモンスーンの時期に収穫されます。濃厚でモルティーフレーバーといわれる芳醇な甘みと力強い味、クリームのような風味が特徴です。タンニン含有量が豊富で甘い味わいがありミルクティーに向いています。クオリティーシーズンのピークのアッサムは淹れた紅茶が冷めるとクリームダウンという水色が濁る現象が起きますが実はこれが一番おいしいのです。

オータムナル・・・・・・・秋摘み茶で9月~11月ころに摘まれる四番茶です
秋に収穫された茶葉ならではの濃厚な味わいで重くしっかりした渋みが特徴で後味は癖がないです。黒味がかった濃い赤色の水色をしています。ミルクティーにすると、渋みがやわらぎます。

・ニルギリ 標高約1,200~2,000m インド茶のコクと爽やかさを併せもちます。
ほとんどがCTC製法で加工されます。インド茶特有の甘く深いコクと、セイロン茶風の爽やかさが同時に味わえます。フレーバーなどのブレンド用としても親しまれています。

日本

日本でも和紅茶ブームから始まり国産茶葉を100%使用した 日本生まれの紅茶『和紅茶』が各地で生まれています。品種は大きく「やぶきた」「ベニふうき」

一般的に、緑茶も中国茶も紅茶も原料となる茶葉はすべて同じです。加工方法によって変わります。茶葉を発酵させて作られるのが紅茶です。日本国内で生産されるため「国産紅茶」「地紅茶」とも呼ばれる「和紅茶」は、インドやスリランカ産などの外国産の紅茶とは違い、自然で柔らかな風味を味わえるのが最大の特徴です。日本の気候や風土で育まれた茶葉で作られる和紅茶は、渋みが少なくマイルドな味わいで後味もスッキリのものが多いのが特徴です。日本国内で生産・流通されているので、新鮮なうちにお届けすることができます。

その他の産地

・【中国】キーマン 標高約1,500m以上 伝統的な三大紅茶の1つです。
中国南東部の安徽省産で、独特の燻製香が特徴です。渋みが弱く甘みがあり、ミルクティーにすると独特の風味が楽しめます。キーマン茶は10以上の品質ランクがあり、特級茶は蘭のような香りがするともいわれます。渋みが弱いのでフラワーやハーブ、フルーツティーと相性が良いです。

・【ケニア】ケニア 標高約 1,500~2,700m マイルドで均一な味わいが秀悦です。
ケニアは、輸出量は世界第1位、生産量は世界第2位を誇ります。CTC製法の均一かつ安定した品質が特徴です。マイルドで若々しい風味の葉は、イギリス人好みの色の濃いミルクティー向きの仕上がりです。

・【インドネシア】ジャワ 標高約1,300~1,800m ゴクゴク楽しめる軽さが魅力です。
ジャワ島の高地でつくられます。鮮やかな赤い水色で渋みが少なく、味・香りともに軽めです。水がわりに楽しめるものが多いです。

・【南アフリカ】ルイボス 緑茶や紅茶、ウーロン茶は全てツバキ科の茶の樹から作られますが、ルイボスはマメ科の植物のため、カフェインを含んでいません。南アフリカ共和国でしか栽培が成功していない、非常に珍しい植物です。乾いた大地の地中深くまで根を張り、水分や養分を確保します。夏場の炎天下でも、冬場の厳しい寒さにも耐え抜くような過酷で特殊な自然環境で育つノンカフェインを求める方に人気のお茶です。

②ブレンドティー&フレーバーティー

ブレンドティー

紅茶の世界での“ブレンド”はティーブレンダーが、各産地の茶葉本来のおいしさと特徴を知り尽くしたうえで、イメージするブレンドティーを作りあげていきます。現在、飲まれている紅茶もそれぞれ同じ品質に感じるように紅茶をブレンドしています。常にゴールをイメージして「テーマ」を決めます。ブレンドによって、それぞれの茶葉の個性をさらに引き出すのです。ブレンドティーには、さまざまなブレンドがあります。絵画と同じように音楽と同じように描き手や演奏者によって表情が変わるように、同じ茶葉でもブレンダーが変わることで違う魅力が楽しめます。

フレーバーティー

「フレーバーティー=紅茶の品質・フレーバーとの相性」

フレーバーティーの楽しさは、ベースの紅茶が良質であることが第一です。その茶葉の個性に合わせてフレーバリングすることで、紅茶の魅力を広げられる“おいしさ”が感じられます。

≪フレーバーティーの5つの種類≫
1.フルーツ系(アップル、いちご、ピーチ、レモン、オレンジなど)

2.スイート系(バニラ、キャラメル、カスタードなど)

3.ナッツ系(アーモンド、ヘーゼルナッツ、マロンなど)

4.スパイス系(ジンジャー、シナモン、カルダモンなど)

5.シーズンスペシャル(クリスマス、ウエディング、ハロウィンなど)

紅茶のグレードOP

紅茶のグレードとは、茶葉のサイズ(大きさ)のことで、決して品質の良し悪しを表すものではないです。

サイズ区分は茶園ごとに大抵5~6つに分かれています。サイズの細かいものを「D(ダスト)」と呼称します。したがって、「茶葉が大きい=高品質、茶葉が小さい=低品質」ではありません。ただし、細かい茶葉は劣化しやすい特徴があります。

OP(オレンジペコー)

細くよじれた長い形状で、7~11mm程度。
むらし時間を長くして、茶葉のよりをしっかり戻して飲みたいタイプ。

PEKO(ペコー)

3~5mm程度。
BOPだと渋みが強くなりすぎる紅茶も、PEKOサイズで香りやコクがバランスよく楽しめることもあります。

BOP(ブロークンオレンジペコー)

2~3mm程度。
セイロンティーでよく目にするサイズ。
香り、ボディー、コクのすべてをきちんと味わえるサイズ。

BOPF(ブロークンオレンジペコーファニングス)

2~3mm程度。
セイロンティーでよく目にするサイズ。
香り、ボディー、コクのすべてをきちんと味わえるサイズ。

BOPF(ブロークンオレンジペコーファニングス)

1~2mm程度。
ティーバッグや水出しでも濃く出るサイズ。

D(ダスト)

0.5~1mm程度の粉末状。
浸出が早く、水色が濃く、強い香りが楽しめるサイズ。
高値になることも。

CTC

CTCとは、「CRUSH(つぶす)」「TEAR(引き裂く)」「CURL(丸める)」の頭文字をとった、CTC製法で仕上げられた茶葉をいいます。
濃く早く出るため、ティーバッグやミルクティー向きの茶葉は、このCTC製法によって仕上げられます。

※ 葉っぱの部位を「オレンジペコー」や「ペコー」とする場合もありますが、グレード(サイズ)の「OP(オレンジペコー)」とはまったく関係はありません。紅茶は、1芯2葉で摘んだ茶葉を部位の区別をせずに、まるごと製造工程にかけます。最後にふるいにかけて、サイズを区別する工程です。

栽培の場所(どこで育つか)、環境、収穫時期(年)、製造工程(茶園マネージャーの仕上げ)によって、見た目はもちろん、味や香りが全く違うものになります。

紅茶の茶葉の種類を知ると、いろいろな産地の茶葉を試したくなると思います。そして、飲んでいるうちに、各産地の紅茶の個性や本当の紅茶のおいしさが分かり始めます。茶葉の種類だけでなく、品質の良し悪しもすぐに感じられるでしょう。その日の気分や、合わせる料理・お菓子にぴったりのあばただけの一杯を見つけるという楽しさをぜひ味わってみてください。

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